家事事件手続法
1 今般、昭和23年に施行された家事審判法を全面的に見直し、現在社会に適合した内容を盛り込んだ家事事件手続法として改正され、平成25年1月1日に施行されることとなりました。
2 ここで「家事事件」とは、家庭に関する事件一般を指し(少年事件や訴訟手続としての離婚訴訟は除く)、新しい家事事件手続法は、家庭裁判所が、家庭内の紛争やその他法律で定める家庭に関する事件につき、非公開の手続(法33条)で、家庭内で起きた問題が迅速・円満に解決されるよう、職権主義の下に、具体的妥当性を図りながら処理する仕組みになっています。
3 従来の家事審判法は、わずか31条で構成されており、そのため、手続的に不明確な部分や現代社会に適合しないいなど問題がありました。そこで、今般、家事事件手続法として、家事審判法から大幅に条文を増やし(293条までの条文で構成)、手続的内容等も明確になりました。
4 例えば、裁判所に提出された記録(申立書・資料等)については従来、どの範囲で相手方として謄写閲覧できるのか、必ずしも明確でなく、申立書も相手方に送付されていなかったことから、申立をされた側からすると、どのような主張がなされているか期日にならないと分からないといった事態も生じていました。そこで、家事事件手続法では、記録の閲覧謄写については、閲覧謄写できない場合を明確にし(法47条)、申立書も原則として相手方に送付しなければならないことになっています(法67条1項)。
その他、従来、当事者が、遠隔地に居住している場合には、審判期日毎に、裁判所に出頭しなければならず、その負担が大きいといった問題点がありましたが、家事事件手続法では、通常の民事訴訟でも認められている電話会議・テレビ会議システムの導入が規定されており、出頭の負担が軽減されています(法54条)。
5 このほかにも当事者等の手続保障を図るための制度を拡充し、家事事件手続を使用しやすくするための制度が創設されており、「家事事件の手続が公正かつ迅速に行われ」、なおかつ「当事者は、信義に従い誠実に家事事件の手続を追行しなければならない」とし、裁判所と当事者の責務が明らかにされています(法2条)。このような建前のもと、どのように家事事件の手続が変わっていくのか注目していきたいと思います。